【題名】
世界のテクノスケープとヘリテージ ― 先進国イギリスの現況と日本のポテンシャル

【発表者】
岡田昌彰(Visiting Scholar, McDonald Institute for Archaeological Research, 近畿大学理工学部 社会環境工学科 准教授)

【日時】
2011年2月12日(土) 19時30分~

【場所】
Wolfson collegeの
Old Combination Room
http://www.wolfson.cam.ac.uk/tour/
リンク上のOCR表記された部屋

【発表要旨】
皆さんは、タンクや鉱山などの工場群、ダムや橋などの土木構造物,あるいは廃墟となった渋い発電所などを見て感動したことはないでしょうか。
あるいは、故郷で幼い頃から眺め続けていた煙突や給水塔の風景に久しぶりに出会い、懐かしさや深い愛着を感じられたことはないでしょうか。現在、日本ではこのようなテクノロジーの作り上げる景観「テクノスケープ」を価値あるものとして捉える動きが、専門家のみならず一般市民(若い層から年配層に至るまで)の間にも急速に拡がっています。テクノスケープを題材とした芸術作品は1920年代前後に現れ始め、1980年代には日本でも工場やダムなどを本格的に撮影するプロの写真家が出始めていました。最近はWEBのブログやSNSにも素人の撮影する(しかも見ごたえのある!)テクノスケープの写真が溢れ、魅力的な風景として一般市民の間にも価値が浸透してきているのに加え、川崎市をはじめ日本国内の自治体も工場夜景クルーズや見学会を実施するなど本格的にその価値づけや活用に取り組み始めています。一方、現役あるいは廃止された歴史的な産業施設や土木構造物に価値を見出す「産業遺産・土木遺産(近代化遺産)」に対する社会的な関心も高まっており、各事例の調査研究と文化財指定に並行して,観光やまちづくりの拠点、地元学の教材、あるいは芸術活動の舞台としても注目されています。もはやこれはマニアだけによる一過的なブームやエンターテインメントではなく、価値観が社会全体に浸透する1つの“ムーブメント”と言えるでしょう。

そして、このような産業遺産・土木遺産の価値を世界でいちはやく見出し、その活用や啓発を先導的に行ってきた国は紛れもなくこの「イギリス」です。換言すれば、イギリスは産業遺産・土木遺産、そしてテクノスケープの宝庫であり、私たち日本人が学ぶべき知恵にも満ちています。今回の講演では、イギリスほか各国に現存する面白い産業遺産・土木遺産(Industrial+Civil Engineering Heritage)を概観し、さらにこれらの形成する景観(テクノスケープ)のもつさまざまな可能性について、日本の事例も交えながらお話したいと思います。ケンブリッジ周辺にも見ごたえのあるものがたくさんありますので、是非皆さんの豊かなイギリス生活にもう1つの「イギリスらしい面白さ」を付け加えるきっかけとして頂ければと思います

【会費】
会員 無料、非会員 (学生:2ポンド 非学生:3ポンド)