【題名】
エピジェネティクス研究が解き明かす生物の不思議

【発表者】
関田 洋一氏(Visiting Researcher, Metabolic Research Laboratories, Department of Obstetrics & Gynaecology)

【日時】
2009年5月30日(土) 19時30分~21時30分

【場所】
Graduate Union, 17 Mill Lane, Cambridge (Silver Street の角の入り口のほうから会場に入れます)

【発表要旨】
私たちの体を作るおよそ60兆個の細胞は、元をただすと受精卵というたった一つの細胞から生じました。受精卵は細胞分裂を繰り返し、細胞数を増やしますが、この細胞分裂の過程では遺伝情報は完全にコピーされて二つの細胞に分配されます。つまり、60兆個の細胞は、免疫系などの例外はありますが、すべて基本的にはまったく同じ遺伝情報を持っています。しかし、それらすべてが同じ種類の細胞にはなりません。例えば、肝臓の細胞と筋肉の細胞が見た目も性質も機能も違うものであることは、焼肉屋のことを思い出せば想像に難くありません。(レバーとカルビでは同じウシでも味が違いますしね。)では、なぜ同じ遺伝情報を持っているにもかかわらず、このように異なる細胞が生じるのでしょうか?それは、持っている情報が同じでも、使っている情報(=遺伝子)が違うからです。生物の遺伝情報の使い分け、すなわち遺伝子のON/OFFの制御機構をエピジェネティクスといいます。エピジェネティクスは、生物の発生や、ガンや神経疾患などの病気に深く関与しています。
今回の発表では、最近話題になることが多く、エピジェネティクス研究が深く関わっている体細胞クローン技術やiPS細胞などを紹介しながら、ポストゲノム時代と言われる中でのエピジェネティクス研究の現状をお伝えしたいと思います。
エピジェネティクスという言葉は、最近になって広く知られるようになったもので、今後ますます生物学において重要なキーワードになることは間違いありません。今回の発表で、この言葉が少しでも皆さんにとって身近な物になれば幸いです。