【題名】
土地所有権

【発表者】
岡田 康夫 氏

【日時】
2005年7月30日(土) 19時~20時30分

【場所】
Meeting Room, Clare Hall

【発表要旨】
チャンネル4の番組「A Place in the Sun」、「the Independent」紙に毎水曜折り込まれる「Property」特集等々 ―― 世の中には不動産に関する情報が満ちあふれている。皆が自分の不動産を手に入れたい。実は、この文脈で話題になっているのは「土地所有権」である。だが、土地所有権とは果たして何だろうか?
第一部では、イギリス土地法の仕組みを簡潔に説明する。コモン・ローの不動産権法理によると、イングランド及びウェールズのすべての土地は国王が所有し、国王が個々人に権利を付与する。従って、国王以外のすべての人は、土地自体を保有するのではなく、土地を使用し支配する権利──土地上の不動産権を保有することになる。また、不動産登記制度についても触れる必要があるだろう。この制度は最近新たに改正され、コンピュータをベースにした土地取引制度への重要な第一歩を踏み出した。
第二部では、土地所有権の強さを検討するのに有意義な3つのケースを取り上げる。一般的な理解では、土地所有者は自己の土地を使用し享受する絶対的な権利をもっており、私有財産を侵す者を排除できる自由な裁量権がある。しかし、以下に挙げるケースでは、そのような考え方には正当な理由があるといえるだろうか?
第一のケースは「散策する権利」である。我々は多くのフットパスを歩いて楽しむことができる。しかし、丘を登ったり広々とした野山を散策する一般的な権利というものはこれまで認められなかった。長い苦闘の末、2000年に制定された「カントリーサイド及び通行権に関する法律」によって、散策する権利がようやく認められたのである。
次のケースはショッピング・モール。ショッピング・センターは顧客に服装規定を強制することができるだろうか?あるいは野蛮な若者たちの立入りを禁じることができるだろうか?町の中心にあるショッピングセンターから若者が追放された、ある判決を検討しなければならない。
日本に目を転じて、最後に国立マンション事件を検討する。美しく維持されてきた通り沿いに突然生じた巨大マンション建設を、景観が破壊されるという理由で止めることは果たしてできるのだろうか?